【Der scheidende Sommer】
「いいか。ヤバくなったら俺を呼べよ」 「うん!」 お前、本当に馬鹿だよな。 呆れるくらい馬鹿。 何でそんなに馬鹿なんだろう。 あれほど言ったのに、一番肝心なこと忘れんだから、ホント、世話ないぜ。 来るなつったのに、ノコノコ地獄谷にやって来るしよ。 電撃使えないくせにバッカじゃねーの? HONKY TONKでタダ飯食ってりゃいいのに。 まだ銀次とコンビを組んで間もない頃、 「どんな時でも自分が生き残ることを一番に考えろ」 俺が言うと、銀次は神妙な面持ちで頷いた。 それに嘘はなかったと思う。 だけど、きっとこいつはいざという時、身を挺して他人をかばっちまうと思ったから、 「ヤバくなったら呼べ」 に言いかえたのだ。 呼ばれれば助けに行ける。 俺がどうしてそう言ったのか、アイツは十分すぎるくらい理解していたはずだ。 いつも俺が、どれほどお前の声を聞き取ろうとしていたか。 必死で俺が耳を澄ませていたこと、お前は知ってたか? お前の最後の声も、ちゃんと聞こえていた。 |