【Der scheidende Sommer】




胸のポケットの中で携帯電話が振動して、着信を告げる。



「卑弥呼?」
『仲介屋から話は聞いたわ』
「おう。宜しくな」
『ええ。それにしても最近はよく一緒になるわね』
「商売繁盛でいいんじゃねーの?」
『まあ、そうだけど』
「ナニ?俺とまた組めて嬉しいワーってか?」
『な、何言ってんの?バッカじゃないの?!』
「電話で怒鳴んなよ、これだから処女は…」
『うるさいっ!』
プツッ。


携帯電話を叩ききるという器用な芸当ができるのは卑弥呼くらいじゃないだろうか。
相変わらずなヤツ…。
そして、相変わらずな、俺。


「ごっそさん」
声をかけると、波児はカウンターの向こうで新聞から顔を上げて、「おう」、と短く答えた。そしてすぐにまた新聞に目を戻す。
夏実とレナはいつのまにかあがったようで、姿がなかった。
ドアのベル音に送られて、俺は店を出た。




スバルに帰るために。




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